CREST

辻伸泰、 下川智嗣、 志澤一之、 村山光宏

異種変形モードの核生成制御による 高強度・高延性金属の実現

日本金属学会会報まてりあ 第60巻第1 号, pp.8-12, 2021, DOI:10.2320/materia.60.8
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研究論文概要

わが国における素材産業はその市場規模が大きく,日本のリーディング・インダストリーと位置づけられる.近年,CO2 排出量削減といった持続可能な社会の実現に向けた要求がますます高まる中,素材や部品からそれらの要求に応えることが求められている.様々な社会的要求を満たすためには,マクロな材料特性に関して,ナノスケールにまで立ち戻り,これまで取り扱いが困難であった現象メカニズムの解明,さらに,トランススケールなアプローチによる総合的な解析手法の確立が必要になっている.文部科学省による戦略的創造研究推進事業では,わが国が直面する重要な課題の克服に向けて,挑戦的な基礎研究を推進し,社会・経済の変革をもたらす科学技術イノベーションを生み出す取り組みがなされている.2019年度には戦略目標の一つとして,「ナノスケール動的挙動の理解に基づく力学特性発現機構の解明」が定められ,科学技術振興機構(JST)のCRESTならびにさきがけにおいて新たな視点からの研究が進められている.物質の内部や界面で生じる原子・分子の運動,微細組織の構造変化や化学変化等のナノスケール動的挙動を解析・評価し,マクロスケールの力学的特性発現機構の解明に迫っている.また,トレードオフの関係にある力学特性を両立する材料や新たな力学機能をもつ材料の設計指針の創出が期待されている.(長岡 他「企画にあたって」より抜粋)