JST-CREST NanoMechanics (Tsuji Team)

異種変形モードの核生成制御による高強度・高延性金属の実現

本研究の目的は、バルクナノメタル(Bulk Nanostructured Metals)などのナノ・ミクロ組織を制御した金属材料において、種々の変形モードの新たな発生(核生成)をもたらす機構と、その結果として生じる加工硬化の再生機構を基礎的に明らかにした上で、異なる変形モードを順次核生成することのできる材料とナノ・ミクロ組織を設計し、高強度と高延性を両立した究極の構造材料を試作することである。種々の独創的プロセス技術を駆使してナノ・ミクロ組織を高度に制御した材料を作製し、その変形挙動を硬質ドメインと軟質ドメインの相互作用に注目して解析する。分子動力学(Molecular Dynamics: MD)法による原子シミュレーションおよび電子顕微鏡(TEM、SEM)中の直視観察・解析により変形モードの界面からの核生成機構を明らかにし、phase-field・転位-結晶塑性-FEM解析やDICによる局所ひずみ応力解析、マイクロピラー試験、その場回折実験などの先端的な計算・実験手法を介して、ナノスケールの変形機構とマクロスケールの力学挙動を結びつけるとともに、優れた材料の設計と創製につなげる。