- 研究成果
- 高速電子ナノ光
2024.03.19
学術変革Bー高速電子ナノ光
当研究室の斉藤(A3班代表)は学術変革研究領域「高速電子線で拓く次世代ナノ光制御」(領域代表:三宮工(東京工業大学)、HP:http://www.sannomiya.iem.titech.ac.jp/FENO/)に参画し、電子線を用いた新たなナノ光計測手法を実現します。当班は透過電子顕微鏡(TEM)と電子エネルギー損失分光(EELS)により、ナノ構造中に閉じ込められた「見えない光」を計測する技術の高度化に取り組みます。EELSには電子線による物質の励起についてのあらゆる情報が含まれます。EELSからはX線吸収分光(XAS)のように物質中の電子状態に関する情報が得られることは良く知られていますが、高速電子線のエネルギー幅の狭小化(=エネルギー分解能の向上)により、近年では光吸収に相当する情報も得られるようになっています。光励起に高速電子線を用いることの利点は、単に励起体積を小さくできる(=空間分解能が高い)だけではなく、光照射では困難な双極子選択則を満たさない遷移が、点電荷である電子の入射では可能である点も挙げられます。これは光に変換されない非発光性の物質中の状態に電子線では容易にアクセスできることを意味します。非常に豊富な情報を含むEELSを、空間・運動量・エネルギーなど多次元で分解する計測技術の確立を目指します。