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世界初,ナノ粒子の焼結を4次元で可視化

義永君(現凸版印刷勤務),井原助教,斉藤准教授,村山教授らの研究成果がNanoscale誌に掲載されました.本論文は九州大学大学院総合理工学府所属の波多教授,和田君,および株式会社Mel-buildとの共同研究の成果です.

金属ナノ粒子は体積に対して表面積が大きく,通常の大きさの粒子に比べて低温で焼結することから,例えば新たな電子回路の配線材料として注目されています.ナノ粒子は凝集しやすいことから,通常の2次元的な観察では実際の使用を想定した状況における焼結を捉えにくく,3次元観察が望まれていました.一方で,金属ナノ粒子は反応性が高いものが多く,大気にさらしたり電子線を当て続けたりすると表面が変化し,実際の焼結過程を捉えることは困難となります.3次元観察では複数の方向から電子線を当てて観察する必要があり,時間発展も捉えようとすると膨大な電子線を浴びせることになってしまいます.また,透過電子顕微鏡(TEM)内へと試料を輸送する際には,従来の技術では試料が大気にさらされることが避けられませんでした.

本研究では,株式会社Mel-buildとの共同研究の下,大気非暴露での試料輸送機能を備えたその場加熱ホルダーを開発することで,大気暴露による汚染を克服しました.また,観察における電子線量を生物試料観察レベルまで落として観察し,先進的なノイズフィルタを用いることで,ナノ粒子の焼結過程を3次元で可視化しました.このような技術によって,種々のナノ粒子の熱処理過程が明らかになり,材料開発に役立てられるものと期待されます.

本成果は九州大学の広報室からプレスリリース発表されました.

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