井原助教，斉藤准教授，義永さん（M2），Avala学術研究員および村山教授の研究成果がScientific Reports誌に掲載されました．

走査電子顕微鏡（STEM）は従来のTEM（CTEM）に比べて観察できる試料厚さの許容範囲が2倍以上あるため厚い試料も扱うことができ，表面の影響をなるべく抑えてその場観察することができます．また，STEMでは通常の組織観察に加えて化学的な組成や結合の状態等も同時に取得できるという利点があり，近年注目されているデータ駆動型の材料科学において重要な役目を果たすことが期待できます．このようなことからSTEMはCTEMに比べて原理的に優れていると言え，本研究で開発したSTEM特有のノイズを除去する深層学習ノイズフィルタはSTEMを用いた観察では必要不可欠になることが考えられます．応用先の例としては熱や応力下での転位運動のその場観察が挙げられ，厚い試料を扱えることから集団としての転位を観察しやすく，CTEMでは捉えられなかった新たな現象の解明に役立てられます．